熱中症、まさに今から対策が重要!この時期、外で仕事や運動をするときは,特に注意が必要です。

腰原 公人腰原 公人 医師かがやきクリニック川口院長

熱中症に注意が必要なシーズン到来

5月,例年これからまさに熱中症に注意が必要なシーズンに入りました。

ここ数年,毎年温暖化が進み,春から初夏にかけて日中の気温は真夏並み。しかし夜は涼しさが戻り,ほっと一息。実はそこに落とし穴があるのです。高温が持続することで、体も暑さに慣れるのですが,この1日の温度差のお蔭で暑さに体が馴染まないうちに日中の真夏のような太陽光にさらされることになります。

この時期、外で仕事や運動をするときは,特に注意が必要です。地球温暖化とともに毎年,春がまるで夏のように,そして以前のような涼しい梅雨の長雨は影を潜める傾向にあります。

救急搬送者の半数は65歳以上の高齢者

このグラフは平成29年の埼玉県における熱中症の救急搬送者数ですが,5月から一気に増え出します。特に真夏本番前の気温上昇には, 高齢者は特に気をつけたいところです。過去の統計でも救急搬送者の半数は65歳以上の高齢者です。

埼玉県における熱中症救急搬送人数

6月~9月の熱中症による救急搬送者の内訳

高齢者は、体温調節機能の低下があり, 例えば日向で15分の踏み台昇降運動をした場合, 若年者では0.6℃程度の体の中心の体温上昇が、高齢者では1℃近く上昇することになります。

しかも, 夏の暑い環境では, 空気への放熱が起きにくく, 発汗現象による放熱が重要になります。ところが高齢者はより汗をかきにくく,体温上昇への感覚も鈍くなっているのです。

暑さ指数を参考に行動を見直そう

「暑い」という自らの感覚のみに頼ることはとても危険です。客観的に体に影響を与える「暑さ」,それが「暑さ指数」です。気温以外に,湿度やアスファルトなどからの輻射なども総合的に考慮したものです。

環境省の「熱中症予防情報サイト」では,全国,そして各地域のこの「暑さ指数」が当日から翌々日の予測まで時間単位で見ることが可能です。毎日のこの指数を見て,例えば31℃以上の危険領域では外出をなるべく避けて,室内環境でも冷房を活用するなどの工夫が必要です。

熱中症にならないために・・・もう1度確認!

外来で高齢者の「暑さに強いから特に夜も冷房はいらない。」という言葉をよく聞きます。残念ですが,「強い」のではなく,「鈍い」のです。

「強いという思い込みは危険」です。「直射日光を避ける」工夫を,そして「冷房を活用」「細目に水分摂取」が重要です。さらに夜も熱帯夜という言葉以上に,日中に暖められた建物や道路からの放散熱がじわじわと襲いかかります。寝る前にコップ1杯の水分を摂り,朝までの室温・換気に心配りを忘れないでください。

それでも熱中症の症状がでて以下のように対応しても、様子が改善されない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

重症度と対処方法
重症度と対処方法
消防庁 HP http://www.fdma.go.jp/ より1部改変

熱中症になってしまったら:クーリングの方法

熱中症になってしまったら:クーリングの方法

首回り、わき、また、足の付け根を中心に冷やすと効率的です。