子供のおやつと塩の話

椎木 俊明椎木 俊明 医師椎木内科循環器科 院長

塩分の取りすぎは高血圧に影響します

学校医の仕事の一環で小学校での教育講演をしました。それが今回のタイトルです。塩分の摂り過ぎは生活習慣病の中でも特に高血圧に影響します。

脂肪や蛋白質などは成人になれば摂り過ぎ注意となりますが、子供の場合は成長に必要で不足するとよくありませんので極端に摂取制限はできません。しかし摂取過多で最近の子供に肥満が増えています。

一方で子供の塩分摂取量についてはあまり周知されていないと以前から感じていましたので今回の対象は子育て世代のお母様方への話題提供です。

子供の塩分摂取量

塩分を摂り過ぎるとどうなるのか?

まず簡単になぜ人類は塩分が必要かということ、そして摂り過ぎるとどうなるかということを説明します。

昔、小中学生の頃に理科で習ったと思いますが、生物の進化の過程では最初は海から生物が生まれます。海ですので塩と水はふんだんにあります。しかし生物が陸上へ上がっていくと体の器官は不足する塩と水を貯め込むように発達していきます。

また食べ物の中には野菜など一部を除いて少量の塩分はほとんど含まれていますので食べ物がある限り塩不足になることはありません。仮に塩を補いたければ海水を飲めばよいだけのことですからさほど塩に対する注意は必要ないのです。

実際にアフリカの一部の民族は1日に2-3gとほとんど塩を摂取しなくてもちゃんと生きていけます。更にその民族には高血圧があまりいません

つまり生きていく上での最低限の塩さえ摂取できれば残りは体にとって余分な塩となってしまうのです。塩は体に貯めこもうとすると水を一緒に貯め込まなければなりません。

なぜ、塩分を摂り過ぎてしまうのか?

また塩は食事を作る時の味付けの根本をなすため塩抜きの食事は考えられません。そして塩を少々多めに使用して濃い味付けにしないと料理の味が引き立たないということもあります。

つまり現代は生きるために塩分を摂取するというよりも美味しく食べるという目的が主体となり、生きていく上での塩分摂取とは少し異なる目的で人間は塩分摂取をするようになってきました。

そして体に塩と水を貯め込むようになって高血圧という現代病が発生してきたのです。つまり子供も大人も塩分は少なければ少ないほど将来高血圧は発症しにくいのです。

一方で人類が進化していく上で、狩猟民族は飢餓との戦いに勝つために体は蛋白質や脂肪を貯めこむ能力を持つようになります。

貯めこまないともし食料がなければ飢え死にしてしまうからです。狩猟民族は移動して生活の場が変わっていきますが、その場にとどまって米や麦や野菜を栽培する農耕民族に変化していきます。

それにつれて食料の供給が安定的となりそれほど蛋白質や脂肪を体に貯め込む必要がなくなってきます。それにも関わらずに食べ過ぎるのが現代の生活習慣病で脂質異常や糖尿病になるのです。

食べ過ぎるのが現代の生活習慣病

塩分摂取の習慣は親が子供に教えるもの

よって生活習慣病と食事療法を考えるには、塩とそれ以外の栄養素を少し分けて考える必要があります。三つ子の魂百までという諺がありますが、正に塩分摂取の習慣は親が子供に教えるものです。

なぜなら親の味付けで子供の味覚がある程度確立されてしまうからです。つまり辛い物が好きな親に育てられた子供はやはり辛い物を普通に食べます。煙草を吸う親を見て育った子供に喫煙者が多いのと同じです。食育という言葉が流行っていますが、塩分摂取はとても重要です。

塩分摂取は1日に6g程度に抑えればよいのですが、味噌や醤油などのヘルシー和食中心の食事では塩分過多になりやすいのです。

実際6gの塩分量はほんの小さじ1杯しかないのです。そこまで説明理解して食事に含まれる塩分パンフレットをお渡しして「塩分を減らせば将来高血圧になりにくいですよ」と説明することが本当の高血圧を予防する食事指導だといえます。

しかし現在の高血圧予防目的の食事指導は中年向けの話ばかりなのです。本当はもっと小中学生の若いうちから食育をしなければならないと思っています。

今回の小学校での食事や塩分についてアンケートを事前にとると、小学生のおやつはスナック菓子などが多く予想以上に塩分が多く含まれていることもわかりました。

スナック菓子

また小学校の過去の保健衛生の資料を調べてもらうと30年以上前の昭和60年に同じようなアンケートを取っていた資料がみつかり当時のおやつのベスト3が出ていました。3位はみかん、2位は牛乳でした。1位はどうしてもアンケート結果がみつからなかったようです。

皆さん、どんな食べ物が1位と思われますか?私の推測ではみかん、牛乳とくれば1位はバナナだと思っています。正解かどうかは不明ですが、少なくとも当時の1位はスナック菓子ではないようで隔世の感を感じます。