発作性の咳、早めの百日咳検査が必要!
腰原 公人 医師かがやきクリニック川口院長百日咳の患者数は6割近くが20歳以上です
例年、花粉の季節が終わりに近づくころから、しつこい咳で悩む人が増えてきます。その原因は百日咳です。感染のピークは6月下旬まで続きます。
百日咳と聞くと子供の病気と思うかも知れませんが、むしろ大人の感染が問題です。2008年からの5年間の国立感染所研究所の累積患者数では6割近くが20歳以上です。
百日咳の感染の流れ
成人の長引く咳嗽の2割は百日咳と言われています。現在、4種混合ワクチン(DPT-IPV:ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ)の接種が、1歳半ごろに終わります。
獲得した免疫力は4年以降減弱し始め、10~12年でその効果は消失します。その結果、中高校や大学での集団感染が、度々報告されます。
百日咳の症状経過と検査のタイミング
その感染力は麻疹に匹敵します。さらに大人では小児のような典型的な症状がなく、症状だけでは普通の風邪と鑑別は困難です。発作性の咳、咳き込み後の嘔吐、2週間以上続く咳、周囲に咳の長引いている人がいるなどの状況では、積極的に検査を受けましょう。
ただし、成人の場合には菌量が少なく培養では捕まりにくく、従来から行われていた血清抗体検査では治療効果の期待できるタイミングでの判定が困難でした。
2016年11月よりLAMP法という遺伝子検査が保険でできるようになりました。発症から1~2週間以内に診断できれば、感染者の症状を治す抗菌薬投与が可能です。ただし2週以降でも周囲への拡散防止のために、抗菌薬の内服は必要です。
学校保健安全法では、「特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまでの出席停止」が定められています。