ピロリ菌を見つけるための検査について説明します!|ピロリ菌は世界の全人口の約50%、日本でも約50%弱の方に感染しています

品川 正治品川 正治 医師品川内科クリニック 院長

ピロリ菌を見つけるための検査

①内視鏡検査を用いる検査

  1. 迅速ウレアーゼ検査
  2. ピロリ菌が持っているウレアーゼという尿素を分解する酵素を持っていることを利用して調べる方法です。
    採取した粘膜を特殊な反応液に添加し、反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。
    ピロリ菌

  3. 培養法組織検鏡法
  4. 胃の粘膜を採取してピロリ菌の発育環境下で培養して判定します。

  5. 組織検鏡法
  6. 胃の粘膜の組織標本にて顕微鏡でピロリ菌を探す方法です。

②内視鏡検査を用いない検査

  1. 尿素呼気法
  2. ピロリ菌が持っているウレアーゼが、尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解するのを利用した方法です。
    検査用の薬をのみ、服用前と一定時間経過した後の呼気を集めて診断します。
    最も精度の高い診断法です。

  3. 抗ピロリ抗体検査(血液や尿を用いた)
  4. 人間は菌やウイルスに感染すると、抗体を作ります。ピロリ菌に感染したときも抗体を作りますので、血液中や尿中などに存在する抗体を測定する方法です。

  5. 便中ピロリ抗原検査
  6. 糞便中のピロリ菌の抗原を調べる方法です。

胃がんリスクABC分類検査

胃がんリスク検診ともいわれています。ペプシノーゲンは胃液中に分泌される物質で、ペプシノーゲンⅠとペプシノーゲンⅡがあります。ペプシノーゲンⅠが減少すると萎縮性胃炎が進行していると考えられ、ⅠとⅡの比率が下がっていれば、萎縮性胃炎が進行していると診断します。

ピロリ菌は胃がんの発生の必要条件と位置づけられ、その中で進展した萎縮性胃炎は胃がんの発生リスクが高いとわかってきました。血清ペプシノーゲンとピロリ抗体を利用して胃がんのリスクを調べる検診を「ABC検診」と呼んでいます。
これは
A群:ピロリ抗体(陰性)、ペプシノーゲン法(陰性)
健康的な胃粘膜で、胃疾患の可能性が低い

B群:ピロリ抗体(陽性)、ペプシノーゲン法(陰性)
胃粘膜の萎縮は強くないが、消化管潰瘍や未分化型胃がんの発生の可能性もあり。

C群:ピロリ抗体(陽性)、ペプシノーゲン法(陽性)
胃粘膜の萎縮があり、胃がん・胃腺腫・過形成ポリープなど胃粘膜萎縮を発生母地とする疾患の危険群。

D群:ピロリ抗体(陰性)、ペプシノーゲン法(陽性)
高度に萎縮があり、胃がんリスクが高い
と考えます。

メリット

①胃がんリスクだけでなく低い人を明らかにできます。
②血液による検査で簡単にできます

デメリット

①胃がんそのものの診断をすることができませんので、検診で指摘された人は内視鏡検査が必要となります。
内視鏡検査


拙著「ピロリ菌を知れば、人生はうまくいく! 胃がんで死なないために」より