ピロリ菌をやっつけるには?|ピロリ菌を知れば、人生はうまくいく! 胃がんで死なないために

品川 正治品川 正治 医師品川内科クリニック 院長

ピロリ菌の治療法

ピロリ菌感染が確認されたら、ピロリ菌を治療します。まず、最初に(一次除菌として)3種類の薬を服用します。

プロトンポンプ阻害薬とアモキシシリン(750mg)、クラリスロマイシン(200mgまたは400mg)の3種類を1日2回1週間服用します。一次除菌で約70-80%に除菌が成功するといわれていますが、残念ながら除菌できなかった場合、二次除菌を行います。

一次除菌で約70-80%に除菌が成功

プロトンポンプ阻害薬とメトロダニゾール(250mg)、アモキシシリン(750mg)の3種類を1日1回1週間服用します。二次除菌で約80-90%に除菌が成功するといわれています。

二次除菌で約80-90%に除菌が成功する

除菌時の副作用

除菌時の副作用の種類と頻度は、下痢・軟便が20-30%、味覚異常・舌炎・口内炎が5-15%、皮疹2-5%です。副作用があっても重篤でない場合には1週間継続して服用します。大抵は服用期間が終わると特別な治療をしなくて自然に軽快します。
下痢・軟便

しかし、数%で重篤な副作用が起こることがあります。重篤な副作用は、頻回の下痢、発熱、重症の発疹、喉頭浮腫、呼吸困難、出血性腸炎(血の混じった下痢)などです。もし、異常が起きた時は、すぐに服用を中止し、主治医に相談してください。

服用時の注意

薬を途中で中断したり、飲み忘れたりすると除菌に失敗するだけでなく、耐性菌(薬が効かない菌)に変わってしまうことがありますので、重篤な副作用が起きない限りは最後まで薬を飲みきるようにしてください。

除菌判定や成功率について

除菌が成功したかどうかの判定は除菌終了後少なくても4週間以上経過しなければなりません。それは、除菌に失敗したとしても除菌直後は菌が減少していて、検査で偽陰性になる可能性が高いからです。

一次除菌で約70-80%の方が除菌が成功し、二次除菌で約80-90%の方が除菌が成功するといわれています。
除菌が成功したと思っていても、ピロリ菌がわずかに残っていたり、ピロリ菌に再感染する場合が約1%あります。

除菌成功後のメリットとデメリット

■メリット
除菌が成功すると胃がんの発症率が3分の1に減少するというメリットが期待されますが、それでも胃がんになる可能性がなくなるわけではありませんので、除菌後も年に1回は必ず胃の検査を受ける必要があります。

また、除菌を行うことで胃潰瘍や十二指腸潰瘍が起こる可能性が低下します。機能性ディスペプシアの症状が改善することがあります。胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病の症状が改善する可能性が高まります。
■デメリット
除菌が成功すると慢性胃炎がよくなりますが、逆流性食道炎が新たに起こる可能性があります。ピロリ菌が無くなることで、胃酸の分泌が回復するために起こると考えられます。体重が増加することがあります。

<参考資料>
拙著「ピロリ菌を知れば、人生はうまくいく! 胃がんで死なないために」より