食中毒を起こさない!その秘訣|対策ポイント6つ

腰原 公人腰原 公人 医師かがやきクリニック川口院長

暑い季節到来、気を付けてほしい食中毒

暑くなる、これから気をつけなくてはいけないのは食中毒です。国の発表している食中毒患者数、どうでしょう?実際はそれよりはるかに多い人が発症しています。

菌は育ちやすい!

症状が出た人の一部が病院を受診し、またすべての患者さんの数を病院が報告しているわけではありません.身の回りでよくある夏場の腹痛、下痢、嘔吐、熱発の原因です。症状が軽い人も多いですが、死に至るケースも!

食中毒を起こさない!その秘訣
この写真は培地に塗った菌です。たった一晩で右側のように 菌がびっしりです。菌にとって育ちやすい環境があるとたちまち増えてしまいます。

対策ポイントは6つ

食中毒にならないようにすべき対策ポイントが6つあります。それぞれについて説明します。

ポイント 1)食品の購入

食中毒にならないようにすべき対策ポイント
新鮮なものを購入したら、ビニール袋に分けて他の食品と交らないように、そして早めにご自宅の冷蔵庫へ保管してください。冷蔵庫の詰め過ぎはいけません。空間の7割程度にしておかないと冷蔵されない箇所がでてしまいます。

食品の表示の水分活性って、ご存知ですか?
食品の表示の水分活性
食品分子と結合していない水分量のことで、この数値が大きいほど、食中毒原因菌であるカンピロバクター、ビブリオ、サルモネラなどの菌が育ちやすいことを意味しています。

ポイント 2)家庭での保存

家庭での保存

食品を購入した際に一度, 表示をじっくりと見てください。この数値が1に近いほど菌が増殖しやすく、もともとわずかな菌が自然に存在している刺身や肉類はチルド室に保管して、冷蔵庫内の温度を計ってみましょう。

家庭での保存

ポイント 3)下準備

食材を調理する前の下準備として、日頃からキッチンを清潔にしておき、調理をする前にまずはしっかりと手を洗いましょう。ふきんは漂白剤に一晩つけこんで消毒しておきましょう。

下準備 
例えば魚介類の多くにいる腸炎ビブリオは夏場の食中毒の代表的な菌ですが、 1つの菌が倍になるのは10分です。

もし1gの食材に10個の菌がいたら、2時間で4万個以上に、3g食べれば食中毒を起こす菌数の10万個は食べたことになります。冷蔵庫でラップしてあった野菜も調理前には,しっかり洗いましょう。冷凍食品の解凍は使う分のみ、繰り返しの解凍はしないようにしましょう。

ポイント 4)調理
ポイント 5)食事

調理

  • 加熱調理が必要なものは、中心部分の温度が75℃ (二枚貝は85℃) 1分間以上加熱しましょう。
  • 料理を中断する場合は、冷蔵庫に入れましょう。
  • 電子レンジを使う場合は、専用容器や蓋を使い、熱が伝わりにくい場合は、時々かき混ぜましょう

食事のときはきれいな食器にきれいな手で盛り付けをしましょう。

  • 温かく食べる料理は65℃以上、冷やして食べる。
  • 料理は10℃以下にしておきましょう。
  • 調理後の食品は室温で長く放置はだめ。

ウェルシュ菌による食中毒の特徴は,食後10時間前後で腹痛、下痢症状が出現します

ウェルシュ菌による食中毒の特徴は,食後10時間前後で腹痛、下痢症状が出現します。

ポイント 6)残った食品の保管

残った食品の保管

  • 残った食品は早く冷えるように浅い清潔な容器に小分けしましょう。
  • 時間が経ちすぎたら、思い切って捨てましょう。
  • 残った食品を温め直す時も十分加熱しましょう。

料理した食品が余ったときに、火を通したものだから安全ではありません芽胞を持つ菌は火に強いのが特徴です。これらの菌は体内で毒素を出すため、食べて1~2時間で吐気がまず現れます。

予防が第一ですが、嘔吐や下痢がひどいと脱水症になります。 また熱中症を誘発することにもなります。それでも食中毒を発症して、症状が強いときは早めに医療機関を受診しましょう。