季節によって血圧はかなり変動します!その注意点について
![椎木 俊明](https://doctors-blog.com/wp/wp-content/uploads/2018/07/33_image.jpg)
血圧の季節変動について
夏は血圧低下
一般的に夏は汗をかき体の水分が減るために血液量が減りそして粘っこくなります。そして暑さのために血管も拡がり血管の抵抗が下がります。よって血液の圧力すなわち血圧は低下します。
昔から「酒を飲んで風呂に入るな!」と言われますがそれはなぜでしょうか?その理由はアルコールによりおしっこが近くなり体は脱水状態になり血液が粘っこくなります。そして風呂に入ると体温が上がりますので血管は拡がって更に汗をかきます。すると夏の如く血圧は低下してきます。
その後は皆さんもお分かりの通り低血圧で血液が粘っこくなれば脳梗塞を起こしやすくなるのです。
冬は血圧高め
それでは冬はどうでしょうか?冬の寒い朝を思い浮かべてください。
体も縮こまるような寒い朝です。そのときには血管も縮こまります。つまり血管の抵抗も上がり、夏のように汗もあまりかきませんので体の水分も減らないために血圧は高くなります。
つまり冬の方が夏よりも血圧が高くなります。また朝と夜を比べてみましょう。冷え込んだ朝の方が、夜にお風呂に入ったりお酒をのんだりして温まった体より血圧が高いのは直感的にもおわかりいただけると思います。ですから冬は血圧が上昇しますと老化して朽ちたゴムホースならどうなると思いますか?
そうです。どこか血管の弱い部分即ち血管の欠陥部分に亀裂が生じて血液が血管外に漏れだします。つまり出血です。脳に起これば脳出血やくも膜下出血という恐ろしい病気に繋がります。
血圧による病気の発症は夏よりも冬に多く、また夜より朝(午前中)に多いことが統計的にわかっています。また健診のときに高血圧を指摘されても、自宅の血圧は正常という場合もよくあります。
いわゆる白衣高血圧といいますが、それはまたの機会に説明させていただきます。つまり血圧は測定する季節、時間帯でかなり変動するということです。
ですから一定の時間を決めて測定することは大切なのですが、測定する季節や時間帯を間違えると本当は高血圧で治療が必要なのに見逃されていることもあるわけです。
血圧計測定は季節性や時間帯も考慮して
また怒ったり泣いたり緊張したりすれば当然のこととして血圧は上がります。「頭に血が上る」とよく言いますが、その時はやはりカッカしているので当然血圧も高いでしょう。病気からみた表現としても的を射ています。人間は感情の動物ですのでいつも冷静でいるわけにはいけません。
そのような感情のコントロールができればもはや人間ではなくてサイボーグと言っても過言ではないでしょう。
ですから高血圧で受診される患者さんには季節性や時間帯も考慮して毎日、起床時と夜寝る前に血圧測定をお願いしています。原則は1年を通してですが、特に冬場の測定は重要視しています。
いいところばかりの数字のみを書かれても病気を知るという意味では不十分で悪い部分を知らなければ改善もできませんし、倒れてからでは遅いですものね。冬場の早朝によく救急車のサイレンを耳にします。
経験的なもので消防隊の方に直接聞いたことはありませんが、職業柄そのサイレンはスリップによる交通事故による怪我か高血圧による脳卒中や心臓疾患が多いのではないかと思っています。
血圧測定はぜひ冬の早朝に
最後に血圧の季節変動はとても大切ですので、血圧が落ち着いていると病院で褒められた皆さんでも今一度冬の早朝の血圧を自宅で測定することをお勧めします。