子宮筋腫の治療方法

浅川 恭行浅川 恭行 医師浅川産婦人科医院 院長

子宮筋腫について

子宮筋腫は良性疾患であり、悪性化する可能性はありませんが、術前診断で悪性腫瘍と鑑別していく必要があります。多くの子宮筋腫は症状が乏しいので、経過観察で十分、というケースも多くあります。

積極的医療介入が必要になるのは?

では、どのような症例で「積極的な医療介入が必要」となるのか、解説いたします。

最も積極的医療介入が必要になるのは、月経量が多くなる「過多月経」症状による貧血です。血液中の赤血球が不足することにより、全身が慢性的な酸素不足に陥ることになります。

結果として、ちょっと動いただけで動悸がしたり、頭が重い感じになり、集中力がでなくなる、など、様々な症状がでるようになり、放置すると心不全を起こすこともあります。社会生活にも支障を来すので、この場合は治療が必要です。多くは鉄欠乏性貧血ですので、注射または経口による鉄剤の補充を行います。

しかし、これでは根本的原因除去になっているとは言えません。また、ホルモン療法は症例によっては良い方法ではありますが、根本的解決にはならないという側面も持っています。

根本的解決方法

根本的解決方法としては、手術療法がベスト、ということになります。筋腫のみを取り除く「子宮筋腫核出」、子宮へ到達する方式として、開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術の3通りがあります。

この術式の違いによる術後成績(症状改善や妊娠率への影響)の差は全くありません。どの方法でも、子宮筋腫が取り除くことが出来れば、治療としては完遂したことになります。次に子宮摘出について解説します。

子宮摘出

これも文字通りで、子宮を摘出する方法であり、子宮筋腫でも子宮腺筋症でも「根治術」となります。子宮摘出をするので、術後に子宮疾患になることはありません。最後にホルモン療法から手術療法まで説明いたしましたが、大きさ、部位、症状、患者さんの生活背景、社会背景によって、治療方針は変わってきます。