鼠径(そけい)ヘルニアって何?

そけいヘルニアって何?

“脱腸”です。

それは子供がなる病気でしょ?
いやいや、そけいヘルニア(脱腸)の65%は50歳以上の方です。

そして、男性の3人に1人は一生涯で一度はそけいヘルニアになる可能性があります。日本全国の1年間に行われる消化器外科手術の堂々第一位が、そけいヘルニアです。有名な盲腸(虫垂炎)、胆石、そして癌(胃癌、大腸癌など)を抑えダントツに多い疾患です。
一度はそけいヘルニアに なる可能性

どんな病気?

下腹部や足の付け根と表現される、そけい部に膨らみや痛みを感じる病気です。ここは、二足歩行をするようになった我々人類にとって、一番お腹の中の圧力を受ける場所です。

年齢と共にこの部分の壁が弱くなると穴(ヘルニア門)が開きます。お腹の中の臓器は腹膜と呼ばれる袋の中に存在します。ヘルニア門が開くと、この穴から腹膜が風船のように飛び出します。この風船の中を腸が出入りするのがそけいヘルニアです。
鼠径ヘルニア
そけいヘルニアは良性の病気ですが、自然治癒やお薬の治療で治すことは不可能です。放置していくと日常生活に支障が出るだけでなく、命に危険が及ぶこともあります。

それが嵌頓(かんとん)です。

嵌頓(かんとん)とは、脱出した腸が戻らなくなることです。そうなると腸はヘルニア門で締め付けられ、血流が途絶えます。その結果、腸は腐り(壊死)、穴が開きます(腸管穿孔)。

その穴から腸の内容物が漏れ出し、腹腔内(お腹の中)に広がります。そして内臓を包んでいる腹膜が炎症を起こし、“腹膜炎”という病態に進行します。ここまでくると緊急手術が必要になり、対応が遅れると命に危険が及びます。

たかが“脱腸”と思われがちですが、正しい知識を知ると怖い病気ですね。

治療法は?

そけいヘルニアは手術でしか治せません。ヘルニアバンドや脱腸帯という圧迫する道具もありますが、圧迫を解除すれば脱出します。つまり治療とはなりません。手術までのつなぎの役割です。

手術は人工物(メッシュ)でヘルニア門を覆います。大きく分けて2つ方法があります。

その1

一つは鼠径部に5~6cm切開をする鼠径部切開法です。多くの医療施設で行われている術式です。実際には使用するメッシュによって、より細かい術式に分かれます。

その2

もう一つは腹腔鏡を用いる腹腔鏡法です。この方法は、手術による身体へのダメージが少ないため、早期の社会復帰が可能と言われています。

以前は、術後約1週間の入院が必要とされていましたが、今では医療の進歩もあり、徐々に入院期間が短縮されてきています。
中には、手術当日に帰宅できる、日帰り手術を提供する専門医療機関も誕生しています。