慢性肝炎(ウイルス性)に対する抗ウイルス療法について

原田 久原田 久 医師よしひさ内科クリニック院長

慢性肝炎について

慢性肝炎とは肝機能異常が6カ月以上持続するような状態を指します。多くの場合はウイルス性であり、その他、アルコール性・非アルコール性脂肪性肝障害・自己免疫性などがあります。

ウイルス性の種類

ウイルス性にはB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスがあり、その二つが多くを占めております。いずれも近年新しい薬が開発され、かなりのところまで治療が可能となってきております。
ウイルス性の種類

B型肝炎ウイルス

1964年オーストラリア原住民の血清からオーストラリア抗原と言われる抗原が見つかったことが始まりで、後にHBs抗原と名付けられました。その後、東大の先生により肝炎との関連が報告されました。

感染は血液・体液を介する感染であり、母子感染・性感染症・輸血・臓器移植・鍼治療や注射針の汚染・入れ墨・歯科治療などの原因があげられます。

抗ウイルス療法の最終目標はウイルスの増殖を抑制することで肝臓の炎症の活動性を抑え肝硬変・肝不全・肝癌への伸展を防ぐことにあり、肝機能の正常化やHBe抗原陰性化・HBV-DNA陰性化を短期的には目指しますが、最終的にはHBs抗原の陰性化を目指していきたいです。

抗ウイルス療法に用いる薬にはインターフェロン製剤と核酸アナログ製剤があります。インターフェロン製剤は核酸アナログ製剤よりもHBs抗原陰性化率は高いものの、注射剤しかなく長くても週に1回の通院が必要となります。

インフルエンザ様症状や抑うつ・間質性肺炎などの副作用が起きることもあります。核酸アナログ製剤は内服薬であり現在は5種類の薬剤があります。初期の薬剤では耐性ウイルスの出現頻度が高い報告がありますが、新しい薬剤では耐性ウイルスの出現頻度は極めて低いです。腎機能障害など注意して治療する必要はありますが、肝硬変に至った方でも肝機能の改善を見込める可能性があります

その方の年齢・ウイルスのタイプ・量・肝機能などにより適切な治療法を選択する必要がありますので、B型肝炎が疑われた場合は必ず専門医への受診をお勧めいたします。

C型肝炎ウイルス

かつては非A非B型肝炎と呼ばれていた肝炎の方より1989年に発見されました。感染はB型肝炎ウイルスと同様に血液を介する感染となります。約30%は急性期に自然排除されますが、約70%は持続感染となり慢性肝炎に移行します。

C型肝炎ウイルスには肝臓だけではなく肝外病変として

  1. クリオグロブリン血症
  2. 膜製増殖性糸球体腎炎
  3. 晩発性皮膚ポルフィリン
  4. シェーグレン症候群
  5. 悪性リンパ腫
  6. 関節リウマチ
  7. 口腔癌
  8. 扁平苔癬
  9. 心筋障害
  10. 糖尿病
  11. 慢性甲状腺炎
  12. 間質性肺炎
  13. うつ
  14. などがあげられ、肝臓外でも多彩な病気の原因となりえます。

    抗ウイルス療法について

    抗ウイルス療法は従来はインターフェロン療法が基本でしたが、現在はDAAと呼ばれるウイルスの増殖に重要な働きをもつC型肝炎ウイルスの蛋白を直接阻害して増殖を抑制する内服薬が登場し、劇的な治療効果を認めております。

    ウイルスのタイプやウイルス量などにより使用する薬剤や期間が異なりますが、概ね90%近いウイルス排除を認める治療となっております。ただし、このDAA製剤による治療は肝臓専門医の下で行われなければならないこととなっております。

    また、C型肝炎ウイルスが排除されることにより肝癌のリスクは低下はしますが、完全にリスクがなくなることはありません。したがって、それ以降も継続的に採血・画像検査などにおいて経過を追っていく必要があります。このことは非常に重要なことです。

    なお、B型肝炎・C型肝炎ともに登録を受けている専門医療機関(東京都肝臓専門医医療機関)であれば、これらの治療を行うにあたり、医療費助成の精度があります。当院は東京都肝臓専門医医療機関に該当いたします。